先週は暗号資産投機家にとってエキサイティングな週となった。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)をはじめとする暗号資産の価格が2桁台の上昇となった。しかし、長期的な価格チャートを見ると、状況はより明確。それほど好調ではない。

1年前、暗号資産関連の記者の受信ボックスは新興のDeFi(分散型金融)企業やNFTプロジェクトからの資金調達の発表メールであふれていた。アルゴリズム型ステーブルコインからイールドファーミング・プラットフォーム、メタバースでの土地販売など、新しいストーリーはそれぞれ、ベンチャーキャピタリストから何億ドルもの資金を集めていた。

それが今、受信ボックスに届くメールは減り、もはや新しいバズワードだけで1000万ドルのシードラウンドを成功させることはできないようだ。

しかし、完全に動きがなくなったわけではない。市場低迷のなかでも、投資家や暗号資産関連のツイッターアカウントを惹きつけているチームもいる。そうしたチームはおおむね、過去の投機的なレンディングプラットフォームや華々しいWeb3プロジェクトに比べると、より技術的でインフラに重点を置いた取り組みに注力しているようだ。

イーサリアムブロックチェーンにおけるテクノロジー投資の主要分野をいくつか紹介しよう。

ゼロ知識とスケーリング

ゼロ知識(ZK)テクノロジーは、投資家にとって最も過熱気味のセクターの1つであり続けている。テクノロジーは複雑だが、コンセプトそのものはシンプル。ゼロ知識証明は高度な暗号化技術を使って、何かが本物であることを、それ以外の知識を伝えることなく証明できるようにするものだ。

ゼロ知識証明は、ブロックチェーンのプライバシー、セキュリティ、スケーリングにおいて幅広く使われているが、暗号資産を超えた用途もある。

イーサリアムブルームバーグ向けのゼロ知識テクノロジーを開発しているチームには、スクロール(Scroll)やマターラボ(Matter Labs)、ポリゴン(Polygon)などがあり、それぞれ、ゼロ知識証明を使ってイーサリアムをスケーリングするZKロールアップを開発している。ZKロールアップはゆくゆくは、人々がイーサリアムブロックチェーンにアクセスするための主要方法になると予想されている。

ステーキング

イーサリアムブロックチェーンがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行したことで、暗号資産マイナーに代わって「ステーカー」とも呼ばれる、自らの暗号資産をステーキングして、ネットワークの安全性確保に協力し、見返りに報酬をもらう暗号資産バリデーターが登場した。

暗号資産市場が低迷する中でも関心を集め続ける、ステーキングに特化した企業の1つがEigenLayerだ。

「分散型信頼のための汎用マーケットプレース」との謳い文句を掲げたEigenLayerは、イーサリアムのバリデーションのためにロックアップしたトークンを「再ステーキング」することを可能にしている。

同様にObol Labsは先ごろ、分散型バリデーターテクノロジー(DVT)開発のためにシリーズAの資金調達ラウンドで1250万ドル(約16億円)を調達したと発表した。Obol Labsは自社テクノロジーによって、バリデーターがより安全、かつ暗号資産の分散化という考え方に沿った形で作業ができるようになると語っている。

MEV(最大抽出可能価値)

MEV(最大抽出可能価値:Maximal Extractable Value)とは、イーサリアムブロックチェーンの待機中の取引プール(mempool)を分析して、収益性の高い取引を見つけることで獲得できる利益の一種だ。

MEVを最適化しようとする人はしばしば、他のトレーダーの利益に食い込むような戦略を使っていたため、当初はエコシステムに悪影響を及ぼすと考えられていたが、フラッシュボッツ(Flashbots)などの会社は、MEVによって得られる利益をより多くの参加者へと拡散させることに取り組んでいる。

MEVの獲得が公平なものになるにつれ、利益の上がる分野へと成長を続け、MEVに特化した企業は今でも、市況にかかわらず注目や資金を集めている。

イーサリアムブロックチェーンがPoSに移行した9月以降、フラッシュボッツは有名になってきている。

現在では、ブロックチェーンに追加されるブロックの94%が、バリデーターにMEV最適化済みのブロックを届けるフラッシュボッツのミドルウェア「MEV-Boost」によるものだ。フラッシュボッツは2カ月前、分散型MEV市場を提供するために、他のネットワークと並行して運用される新ブロックチェーン「SUAVE」を開発中と発表している。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/171768/ 

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