yearn.financeとは

yearn.finance(ヤーン・ファイナンス)は、イーサリアムブロックチェーン上で動作する分散型金融(DeFi)プロトコルだ。複数のレンディングサービスを活用し、仮想通貨レンディングの利回りを自動で最適化したイールドファーミングアグリゲーションサービスといえる。

分散型金融(DeFi)プロトコルイールドファーミングとは、レンディングやDEXなどのDeFiに仮想通貨を預け、流動性を提供することで利息として利益を得るサービスだ。複数のイールドファーミングを集約(アグリゲート)し、常に利率の高いレンディングに自動的に切り替えるサービスを提供するのがyearn.financeである。yearn.financeは、ネイティブトークンに「YFI」というガバナンストークンを持つ。

2020年7月18日にローンチされたyearn.financeは、アンドレ・クロニエ氏によって考案された。南アフリカ出身のアンドレ・クロニエ氏は、フィンテックソリューション開発の専門家であり、韓国のFantom Foundationの技術評議会議長も務めるなど、DeFi分野に精通している。アンドレ・クロニエ氏による新たなDeFiサービスということもあり、投資家からの期待値も非常に高かった。

yearn.financeのネイティブトークンYFIは、ローンチ当日は32ドルで取引が開始されている。価格はその日のうちに3000ドル台となり、1カ月後には1万2000ドルを突破した。その後も価格は上昇し、2021年5月には一時的に8万ドル超の最高値を記録した。一時的とはいえ、世界で初めてビットコインの市場価格を抜いたアルトコインとしても注目を集めている。

YFIはビットコインの市場価値を一時的に超えたyearn.financeはビットコイン価格を超えた唯一のアルトコイン 出所:coingecko 

​​yearn.financeの機能・特徴

yearn.financeは、イーサリアムやステーブルコイン、アルトコインなど、対応するトークンを預け入れることで、最高の利回りを提供するDeFiプロダクトだ。トークンを預け入れるとyearn.financeは、Aave(アーベ)Compound(コンパウンド)、dydx(ディーワイディーエックス)などのレンディングサービスの中から、その時点で最も利益率の高いものを自動的に選択し、運用を行う。

yearn.financeが提供するサービスは、いくつかの機能に分かれている。

Vaults

yearn.finance Vaultsの操作画面yearn.financeのVaults操作画面  出所:https://yearn.finance/


主要な機能である「Vaults」は、ユーザーが仮想通貨を預けることで自動的に利回りを得ることができるキャピタルプールだ。Vaultsは、預け入れた資金の利回りの最大化とリスクの最小化を自動的に調整し、レンディング先を管理する。

Vaultsはローンチ当初、ステーブルコインのみの対応だったが、その後イーサリアムやイーサリアム上でトークン化されたビットコイン(wBTC)、Chainlink(チェーンリンク)などに対応を拡大している。

また、Vaultsはイーサリアム上の取引手数料(ガス代)の低減にも役立っている。Vaultsに資金をプールすることで、一つのアカウント(各Vaultのコントローラー)だけがガス代を支払えば済むため、安価にイールドファーミングが可能だ。

Earn

yearn.financeのEarn操作画面

yearn.financeのEarn操作画面  出所:https://v1.yearn.finance/earn

その他の機能に、「Earn」というサービスも存在する。Earnは、Vaultsをスリム化したもので、ステーブルコインとトークン化されたビットコイン(wBTC)のみに対応している。ユーザーは、Earnページからイールドファーミングアグリゲーターに預金することができる仕組みだ。

Zap

yearn.finance Zap操作画面

yearn.financeのZap画面  出所:https://v1.yearn.finance/zap


他にも「Zap」という機能があり、ユーザーが従来のステーブルコインと流動性プロバイダー(LP)トークンをスワップする際に使用される。

こうした機能の組み合わせにより、ユーザーはレンディング先やDeFiに関する知識なしに投資を行うことができる。yearn.financeは、アーべ、コンパウンド、dYdXなどの各レンディングサービス間で金利が変化すると自動的に資金を移動させるため、常に高利率な利回りで資金を運用することが可能になるのだ。

ガバナンストークンYFI

yearn.financeのネイティブトークンであるYFIは、ガバナンストークンに分類される。YFIを保有することで、yearn.financeの今後の方向性を決定するための投票に参加できるのだ。YFIの使い道は動的で、それらも投票にて決定していく仕組みとなっている。

YFIの発行上限は3万6666YFIに設定されており、すべて発行済みである。YFIは、yearn.financeのローンチ後約7日間で、Curve FinanceのyPool、YFI/DAI Balancer pool、YFI/yPool LP token Balancer poolといった特定のプールに流動性を提供した流動性提供者に対して、すべてを比例分配したのだ。

YFIは、プレマイニング(ローンチ前の配布)やトークンセール、開発者への分配などを一切行っていない。新たにYFIを手に入れたいユーザーは、YFIを取り扱う取引所より手に入れる以外に方法はない。そうした分散化の方向性もまた、YFIの人気を高めることに繋がっている。

アンドレ・クロニエ氏は、YFIには本質的な経済的価値はまったくないとしているのにも関わらず、YFIの人気は高い。その価値は、yearn.financeのガバナンスに参加できることに価値を見いだした投資家らによって急騰し、YFIは取引されているのだ。

yearn.financeが人気の理由

yearn.financeは、数あるレンディングサービスから、常に利率の高い最適なものに資金を移動し、高利回りの資金運用ができる環境を提供する。つまり、これは投資家が投資先にyearn.financeを選ぶことで、数多い投資先を選択するコストが省けるという価値を提供していることになるのだ。

レンディングサービスは、どのようなサービスでもとりあえずは利回りによる収益を得ることはできる。しかし、レンディングサービスの利回りは、仮想通貨の需要と供給により変動するという特徴がある。投資家の心情としては、より利回りのよい投資先に投資したいものだろう。

レンディング系のDeFiは徐々に盛り上がりを見せ、その投資先は年々増えており、比較対象となるレンディングサービスは拡大の一途をたどっている。

数多いレンディングサービスの中から、より高い利回りのレンディングサービスを選ぶには、それなりの知識と常に情報を収集するといったコストはどうしてもかかってくる。また、現在投資している投資先よりもより高い利回りのレンディングサービスがあれば、乗り換えるといった作業が必要になる。投資家にとっては、これは大きなコストになる。

yearn.financeの考案者であるアンドレ・クロニエ氏は、この手間を自動化することでよりレンディングサービスに投資する投資家が増えると見込んだのだ。

こうしたレンディングサービス市場を背景に、最適なレンディングサービスと投資先を自動的に切り替えてくれるという、投資家にとって夢のようなサービスが突如として現れたため、yearn.financeは瞬く間に人気のDeFiプロダクトとなった。

自動で高利回りのDeFiを選んでくれるyearn.financeの需要は高まっている

yearn.financeを利用する際の注意点

yearn.financeは、日本国内においては、ステーブルコインが仮想通貨取引所で購入できないため、イーサリアムで利用する以外に方法がない。しかし、yearn.financeにはZap機能などにより、イーサリアムを用いてyearn.financeが対応するステーブルコインなどとスワップすることで利用は可能だろう。

ただし、スワップでさまざまなトークンに交換することは、思いがけないトランザクション手数料が発生することは否めない。yearn.financeは、MetaMaskなどのウォレットを公式サイトに接続することで利用可能だが、どういったトークンが必要で、それにはどれぐらいの工程と手数料がかかるのかなど、しっかりと把握しないと使いこなすのが難しいことも理解しておきたい。

yearn.financeはこれまでのトークン分配方法に一石を投じた

DeFiブームは、DEXなどの仮想通貨取引の自動化からレンディングやイールドファーミングといったサービスへと移行しつつある。仮想通貨は、売買するよりも保管することで利益を得る手法が流行りつつあるのだ。

yearn.financeのブームが、DeFiレンディングのブームを後押ししているとの見方もある。実際に、yearn.financeによってロックされた仮想通貨の総価値は約10億ドルにも上っているとの分析もある。

グローバル市場で最大のDeFiマネーマーケットであり、ロックされている総価値の合計が15億2000万ドル以上であるアーべが、YFIを上場しyearn.financeブームをさらに後押ししたことから、この流れはさらに加速する可能性がある。

また、多くの人がYFIの価格の急騰に注目してきたが、YFIが最も重要なのは、プロトコルのインセンティブを与える方法に変化をもたらしたことだろう。YFIのローンチ時は、誰もが同じ価格を支払ってトークンの生成に参加できたため、ビットコイン以来の最も公平なローンチだったとの評価もあるぐらいだ。

YFIは、ICO(Initial Coin Offering)のようなユーザーが一定の価格を支払って新しいトークンを購入するモデルではなく、ユーザーがプロトコルに参加することでトークンを入手する方式を採用した。この仕組みにより、すべてのユーザーがガバナンストークンを通じてyearn.financeに参加することになり、トークンの購入がそのままプロジェクトのコミュニティを形成し、サービスの繁栄に繋がる結果となったのだ。

ローンチ後に起きたYFIの急騰後も、yearn.financeはDeFi分野や仮想通貨全体で最も活発なコミュニティの一つとなった。その結果、アルトコインで初めてビットコインをも上回る価格上昇へと繋がっている。

しかし、Yearn.financeのようなDeFiにも課題がないわけではない。

事実、アンドレ・クロニエ氏が主導する他のDeFiプロジェクト「Eminence」では、未監査のプロトコルでありながらアンドレ・クロニエ氏のプロジェクトであるということだけで、投資家からの投資が殺到した。Eminenceは、スマートコントラクトの脆弱性を突かれて、ハッキングにより一夜にして1500万ドル以上が流出している。

この影響から、yearn.financeも一時期価格が暴落している。つまりこうしたプロジェクトは、主導者による魅力で成り立つこともあれば、逆にそのキーパーソンに何かがあった場合、影響を受けてしまう可能性も否定できない状況にある。いずれも、先進的なサービスであるだけに、それらを見極めるのは非常に難易度の高い課題といえるだろう。

しかし、yearn.financeとYFIの立ち上げは、仮想通貨プロジェクトのトークン分配方法に一石を投じたものであることは明らかだ。それにより、DeFi業界全体の流れは変化している。初期ユーザーにインセンティブを与えることで、プロジェクトとコミュニティは迅速に成長し、成功を収めることができたのだ。

yearn.financeは、投資家が自らの投資を成功させるために積極的に関与することで、その投資を成功させることができる方法を提示したといえるのだ。経済的価値のないガバナンストークンに価値を与える結果となったyearn.financeは、これからのDeFiのあり方を考えさせてくれた興味深いサービスの一つと言えるだろう。

参考資料:https://jp.cointelegraph.com/news/yearn-finance-explained 

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