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慶應義塾大学経済学部の坂井豊貴教授が29日、日本仮想通貨ビジネス協会の5月勉強会で講演し、ビットコインの半減期によってマイナーが取引承認をする際に直面するゲームが複雑になる可能性について解説した。その上で、解決策としてブロック報酬が永遠に出続けるようにした方が良いのではないかと提案した。

ビットコインの取引を承認するマイナーに対する報酬は、21万ブロックごとに半減される。現在の報酬は12.5BTCで、報酬が6.25BTCになる次の半減期は、2020年の5月21日と推定されている

仮想通貨アナリストの中には、需給の関係から半減期の前後1年ほどはビットコイン価格が上昇するという見方が相次いでいる。

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『暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない』の著者としても知られる坂井教授は、「ブロック報酬の減少がゲームを変える」と主張。現在、ビットコイン取引の承認を行うマイナーは、1ブロックを承認するごとに12.5BTCの報酬に加えて、1ブロックに入っている2千数百件の取引から少しずつ集めた0.7~1.5BTC程度の手数料をもらっている。坂井教授が注目しているのは、前者の出所のない12.5BTCの報酬がなくなった場合だ。

坂井教授は、12.5BTCの報酬がなくなることでマイナーには「どの記録を自分のブロックに詰めるか?」という問いが発生するのではないかと指摘。12.5BTC(約1200万円)という巨額報酬が発生している間は、マイナーにとって割合の小さい手数料は「重要な問題にならない」ものの、もし巨額報酬がなくなったらマイナーは手数料をより意識してブロック承認を行うようになるという視点だ。

今、取引承認待ちのプールに手数料が高い記録があるとしたら、マイナーはどうするだろうか?坂井教授によると、「普通に考えたら自分のブロックに詰めるべき」。「なぜならばもらえる手数料が高いから」だ。しかし、あえて後ろのブロックに残した方が「フォークした時に後ろにブロックが続きやすくなる」(坂井教授)と考える可能性もある。

例えば、下記のようにフォーク(枝分かれ)が起きた時、マイナーはどちらを延伸したがるだろうか?マイナーが次のブロックをほぼ同時に接続することで起きるフォークは、平均50回に1回ほど発生すると見られている。

(出典:坂井豊貴教授)

これまでブロックチェーンは、より長く伸びるブロックの方が「正当な歴史」とみなされる。しかし、手数料問題に直面した時、「ロンゲスト(最も長い)チェーンを伸ばし続けることが新しいゲームにおいては必ずしも得にはならない」(坂井教授)という訳だ。

これまで出所のない報酬が高額だったため手数料についてあまり注意を払って来なかったマイナーが、高額報酬がなくなることで手数料について気にし始める。「どの記録をいくつブロックに詰めるか」という新たな変数が生まれ、ビットコインの取引承認というゲームがより複雑になる。坂井教授によると、この問題を最初に指摘したのはシカゴ大学の研究者エリック・ブーディッシュ氏が2018年6月に出した論文と最近のことであるから、「実際にマイナーがどう行動するかは分からない」。ただ坂井教授は「経験的な話」と前置きした上で、「複雑な制度ほど悪さはしやすくなる」と話した。

「どのトランザクションをいくつ入れるか、戦略として選ぶ変数が多すぎる。一般論として複雑な制度ほど悪さはしやすくなる

(慶應義塾大学経済学部の坂井豊貴教授 専攻はゲーム理論や実験を用いた制度設計(メカニズムデザイン)だ)

その上で坂井教授は、その額が50BTCか12.5BTCなのかはまだ分からないとしつつも、出所なしのブロック報酬を永遠に出続けるようにしてはと提案。その場合は、「非常に弱いインフレが起こり続ける」ことになり、そのコストをビットコインユーザー全員が負担することになるが、まっとうな負担の仕方であるだろうと指摘した。

また、完全に予期できるインフレなので、法定通貨の場合に起きる突然のインフレのような混乱は起こらないだろうと述べた。

参考資料:https://jp.cointelegraph.com/news/japanese-crypto-professor-sakai-explains-some-concerning-aspects-of-bitcoin-halving 

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