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先週、Bitcoin.comのCEOであるロジャー・バーと、同社の主任開発者であるコービン・フレイザーは新しいツールを発表した。これにより、開発者たちは”Bitcoin.com”にホストされる形で、ビットコイン・キャッシュのブロックチェーン上でトークンを発行することができるようになる。

 フレイザーは冗談半分に「好むと好まざるとに関わらず、ICOやクリプトキティーズのような物はおそらく近い将来、ビットコイン・キャッシュにもやってくるだろう」と語った。これに対しヴァーは「おそらくそういった物はBitcoin.comにもやってくるだろう」と楽観的な発言を付け足し、Bitcoin.comが新トークンに基づいたICOを行う可能性があることを示唆した。

 こうしたことが可能になったのは、ワームホール・プロトコルの登場のおかげである。このプロトコルは仮想通貨トークンの世界に君臨するERC-20に対抗する可能性がある。

トークンとは何か?どのように発行されるのか?

 仮想通貨市場は、コインとトークンという2つの部分に分けることができる。前者は基盤となる独自のブロックチェーンを持つ仮想通貨のことである。最も分かりやすい例はビットコイン (BTC) とイーサリアム (ETH) だろう。一方トークンは既存のブロックチェーンに基づいており、特定の資産またはユーティリティを表す。

 トークンはイニシャル・コイン・オファリング (ICO) における重要な要素である。一般的に、スタートアップは自社の分散型アプリケーション (DApp) のためのホワイトペーパーを発表し、資金調達ラウンドを行い、仮想通貨への投資を集め、その後自社のトークンを配布する。そして投資家たちは投資額に応じた取り分を手にするのである。

 これらのトークンの大部分はイーサリアム・ネットワーク上に構築されている。ICOウォッチリストから入手したデータによると、そうしたトークンはトークン市場全体の83%近くを占めている。

ERC-20:トークンのための究極の青写真

 ETHブロックチェーン上でトークンを作成する際に最もよく使われるプロトコルはERC-20である。そのため、このプロトコルは「DAppの王様」と呼ばれている。ERCは「イーサリアムによるコメントのリクエスト (Ethereum Request for Comments)」の略であり、「20」はこのリクエストに割り当てられた数字のことである。ERC-20は最初、15年11月にGitHubで、イーサリアム・プロジェクト向けのDApp開発者であるファビアン・フォーゲルステラー氏により公開された。基本的に、ERC-20にはETHトークンが守らねばならないルールの一般的なリストが定義されており、これにより、例えば発行されるトークンの総量を決定することができるようになるため、開発者はイーサリアムのエコシステム内で機能する新しいトークンをプログラムすることができるようになる。

 ERC‐20はユーザーフレンドリーな原則と、単純化された構造により高度なプログラミング技術を必要としなかったことから人気を得た。Youtubeには「Ⅹ分で仮想通貨を作る方法」についての指導動画が大量に投稿されており、そうした動画の大部分がERC-20を利用して作成することを提案している。基本的にはGitHubからテンプレートをコピー&ペーストし、トークンの総量、名前、そしてシンボルを決め、幾らかのガスとETHを投入するだけで、新しいトークンは誕生するのである。

イーサスキャンのデータベースによれば、現在ではこうしたトークンは11万種類以上存在する。最も著名な例はEOSとTRON (TRX) であり、これらは時価総額でそれぞれ5位と12位に位置している。ほとんどのERC‐20トークンは直接的に使用されたことはないが、ベーシック・アテンション (BAT) や0x (ZRX) トークンのような一部のトークンは、法的位置付けが不透明であるにも関わらず、未だにコインベースのような主要かつ法に準拠した取引所で上場させるためのレビューが行われている。 イーサリアム自体は米国証券取引委員会 (SEC) からようやく「証券ではない」と判断された一方、ERC‐20トークンは市場での売られ方次第では、もしかすると証券に相当する可能性がある。ERC-20トークンはイーサリアムのエコシステム内に存在しているが、そのほとんどは単にスタートアップ内における個人の取り分を表しているだけである。

 こういった理由により、ERC-20は17年のICOの流行において重要な役割を果たした。このプロトコルが大いに広まってから間もなく、仮想通貨市場におけるICOスタートアップの数が大幅に上昇した。ERC‐20が広まる前は、この業界には統一されたプログラミング基準が存在していなかった。各通貨それぞれが独自のやり方をとっていたため、取引所やウォレット、およびその他のアプリケーションとのやり取りが著しく阻害されていた。互換性を確保するため、トークンのソフトウェアは常にアップグレードされなければならなかった。

ERC-20の欠点

 しかし、ERC-20はイーサリアムに基づいたプロトコルとしては初めて採用されるようになった物であり、時が経つにつれて幾つもの問題や欠点が明らかになっていった。

 最も有名なのがバッチオーバーフローというバグである。通常、ユーザーがスマートコントラクトのアドレスに、(ETHの代わりに) 誤ってERC-20トークンを送ってしまった場合、その資金はコントラクト内に捕らわれたままとなってしまう。この抜け穴によってICO参加者が300万ドル以上を失っているにも関わらず、ERC‐20の開発者たちはこれを「ユーザーエラー」であり、バグではないと言い続けている。

 この問題はERC-20トークンに関する別の深刻な結果につながってしまっている。18年4月、OKEX、ポロニエックス、HitBTCやチェンジリーといった幾つもの取引所が、前述のバグを理由にイーサリアムに基づいたトークンの入金と出金を停止してしまったのである。

 それにも関わらず、他の幾つものERCプロトコルがERC‐20の欠点をカバーする、もしくは新しい機能を提供することでERC-20を王座から引きずりおろそうと列を成している。こうしたプロトコルには、ERC-223 (ERC-20のエラーを修正するよう設計された)、ERC-721 (かの有名なクリプトキティーズのような、「収集価値のある」トークンを導入)、そしてERC-948 (「サブスクリプション」モデルの実装を可能にしている) といったような物がある。しかし現在、ERC-20の対抗相手は全く異なるブロックチェーンからやってきた。

ワームホール: ERC-20に対するビットコイン・キャッシュの回答

 上述のロジャー・バー氏の計画は、ビットコイン・キャッシュ (BCH) のレール上におけるトークン発行を簡略化し、Bitcoin.com上でホストするという物である。バー氏がBCHの支持者として有名である点は注目すべきである。ビットコインキャッシュは17年8月にビットコインからハードフォークし、元々のブロックチェーンから別れた物であり、その際の目的は自らを取引通貨として位置づけることだった。バー氏はソーシャルメディアを利用し、BCHが公開される何年も前に出されたオリジナルホワイトペーパーを引用しつつ、「ビットコイン・キャッシュこそがビットコイン」だと主張し続けている。BCHの有名な支持者には、他にもクレイグ・ライト氏という人物がいる。彼は最近、ERC‐20のコンセプトは「行き詰っている」と発言し、「ワームホールとの競争に期待している」と付け加えた。

ワームホールジアジー・ジアン氏が率いる中国の開発者たちによるチームにより提案された、ビットコイン・キャッシュのブロックチェーンに対するスマートコントラクトのプロトコルアップグレードである。そのホワイトペーパーは7月に発表されたが、現状は中国語の物しか存在しない。開発は仮想通貨マイニング用ハードウェアの大手であるビットメインにより開始された。なお、ビットメインのCEOもまた有名なBCHの支持者である。ERC-20によってイーサリアム・ネットワーク上で可能になったように、ユーザーは基本的にはワームホール・プロトコルによりビットコイン・キャッシュのブロックチェーンの合意ルールを変更することなく、スマートコントラクト機能を実装することができるようになる。これを達成するため、ワームホール・プロトコルはオムニ・レイヤー・プロトコルに基づいたOP_RETURNというオペコードを採用している。

 ワームホール・プロトコルはまた、ワームホール・キャッシュ (WCH) と呼ばれるネイティブトークンをサポートしている。このトークンはBCHブロックチェーン上のスマートコントラクトに対する燃料であり、それゆえに新しいトークンの作成やICOトークンの上場といった事を行う際に必要となる。WCHはプルーフ・オブ・バーンのメカニズムにより生成される。100WCHを入手するために、ユーザーは1BCHをバーンアドレスに送る必要がある。記事の発行時点では、2300BCH以上 (120万ドル以上に相当) がこの方法によりバーンされた。WCHは既にコインExにより認められており、コインExは8月1日に自社のプラットフォームにこのトークンを上場させた。

ワームホールの背景にある駆け引き

 BCHのブロックチェーンに基づいた従来とは異なるトークン作成のプロセスについて、ロジャー・バー氏はこれを称賛し、そしてBitcoin.comへと移そうとしている。これは合理的な手順であるように思われる。8月上旬、ビットボックスと呼ばれるオープンソースのBCHソフトウェア開発者キット (SDK) を作成した開発者であるガブリエル・カルドナは、ワームホールの初心者ガイドをBitcoin.comで発表した。この初心者ガイドでは、Bitcoin.comの開発者ツールを利用してトークンを作成し、ワームホール・プロトコルを使用してICOを立ち上げるための方法が説明されている。ここで説明されるトークンには3つの種類がある。すなわち、数が固定されているトークン (トークンの上限数は事前に決められている)、数が管理されているトークン (トークンの総数は付与/取り消しにより管理される)、そしてクラウドセール/ICO向けトークン (後にICOの最中にWCHのために売却される)である。

 一方ビットメインは、もっとやむを得ない事情からBCHのエコシステムを強化する判断を行ったように思われる。自社のIPOに先んじて、このマイニングの巨大企業はその貯蓄の大部分をBTCからBCHに変換したと報じられている。一方でBCHは市場価格の面で言えば、全体的には不幸な年を過ごしてきた。

「ビットメインのIPO前の投資家向けスライド資料によると、彼らは自分たちが持つほとんどのビットコインを売却してビットコイン・キャッシュに変えている。900ドル/BCHとなり、彼らは過去3ヶ月で5億ドルを失った」と、ブロックストリームのCSOであるサムソン・モウは8月11日にツイッターで主張した。

いずれにしても、ERC-20は戦いを挑まれてきた

 現時点では、ワームホールがICO経済で現状定番とされている物 (例えばERC-20トークン) よりも優れた働きを見せるかどうかは不透明である。WCHにはバッチオーバーフローのような明白なバグは存在しないかもしれないが、いずれ幾つかの欠点が明らかになるかもしれない。

 それでもなお、比較的新しいコンセプトであるにも関わらず、イーサリアムに基づいた他の有力な「ERC-20キラー」に比べ、ワームホールはより多くの支持を集めている。例えばERC-223はかなり以前、17年に発表されたものの、未だに広く受け入れられていない。両者ともに、未だにソフトウェアおよびハードウェアのウォレットからの強力な支援を受けることはできていないが、ワームホールは今や便利なインターフェイス・プラットフォームを手に入れており、新しいBCHベースのトークンで実験を行うのがより簡単になった。しかしERC-223が遅れを取る一方で、別のETHベースのプロトコルであるERC-777が、早ければ今月に発表される可能性がある。

参考資料:https://jp.cointelegraph.com/news/here-is-how-blockchain-will-help-to-explore-space 

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