ジョン・マカフィー氏は、サイバーセキュリティ企業McAfeeの破天荒な創業者として知られる人物である。そんなマカフィー氏のものと自称するTwitterアカウントから米国時間1月13日、投資に関するちょっとした情報がツイートされた。「今日のコイン」として、2017年秋に取引が始められた仮想通貨(暗号通貨)の「GVT」を推奨したのだ。

悪名高いマカフィー氏ではあるが(大手アンチウイルスソフトを創業し、2012年に中米ベリーズで隣人の死亡にかかわった疑いで指名手配され警察から逃れ、2016年の米大統領選に出馬するとしていた)、ビットコインが注目されるずっと前から未来の通貨として大げさに宣伝していたこともあり、仮想通貨界の賢者とみなす人が今もいる。そのため、人によってはマカフィー氏のGVT推奨は買いのサインであり、将来的な買いの殺到と価格高騰の予兆となった。

そうしてGVTは買われた。ただし、購入者たちは、GVT推奨ツイートを投稿したTwitterアカウントに余計な「L」があったことに気づかず、この偽アカウント「@officiallmcafee」とマカフィー氏の本物のアカウント「@officialmcafee」を比べる確認作業も怠った。このツイートが最初に流れた米国東部標準時間(EST)午後3時ごろ、GVTは30ドルで取引されていた。それが午後3時4分に45ドルとなり、取引量は倍増した。


ところが、GVTの価格は下がり、午後3時19分には30.29ドルへと戻ってしまった。こうして、早い段階で賢く立ち回った人は利益を持ち去り、後から買った人の手には価値の下がったGVTが残された。これは、「Big Pump Signal」というチャットルームで組織的に実行された風説の流布による価格操作で、株価操作目的のスパムメール(pump-and-dump)と同じお決まりの手口だ。チャットルーム内では、偽マカフィー氏のツイートをメンバーにリツイートさせたり何らかの手段で広めたりさせ、あらかじめ指定しておいた時刻にGVTを売買する手はずとなっていた。

仮想通貨が取引される野蛮な世界には、規制がほとんど及ばない。フェイクニュースと根拠のないうわさの広まる状況が、素人を食い物にしようと狙っている悪人のあいだで常態化してきた。偽情報を広めるのに、これ以上の環境はない。とても活発で、複雑怪奇なうえ、勉強もせず一発当てて金持ちになろうと情熱を燃やす投資家であふれている。

仮想通貨の投資家で、業界紙「Blockchain Report」の編集者でもあるラズ・アルベルト氏は、「この一件から、仮想通貨の世界では冷静さが必要、という事実が導き出される」と述べた。「『友達から聞いた』『Twitterで見た』『(チャットアプリ)Telegramのグループで見た』という情報がたくさんやり取りされている。仮想通貨については、誰かの話を聞く前に、自分で直接学ばなければならない」

ところが、勉強には時間がかかるし、良い情報を見つけるには忍耐が欠かせない。ブログやTwitterで流れるちょっとした最新情報に従った周囲の誰もが濡れ手で粟をしている、と思えるときは、特に我慢が難しい。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で経済学を研究しているウスマン・チョハン氏は、現在の仮想通貨ヒステリーを、非論理的で気まぐれな市場に翻弄(ほんろう)され上下したドットコム・バブル時代の「理性を失った繁栄」になぞらえた。

@officiallmcafee Telegramでたきつけたの?不正行為だ!

この価格操作に利用されたGVTの運営元、ロシア企業の「Genesis Vision」は、参考になる事例だ。流通開始から4カ月たったGVTの時価総額は、価格が乱高下したものの約7500万ドルまで上昇した。Genesis Visionは、世界規模で非集中型の取引ネットワークを2018年のどこかで構築する方向、という内容を説明した、おしゃれなウェブサイトとホワイトペーパーを出しているだけで、製品やサービスを1つもリリースしていない。Genesis Visionの幹部でさえも、GVTの評価には疑いの目を向けている。

Genesis Visionsの最高業務執行責任者(COO)ミロスラフ・エゴロバ氏は、BuzzFeed Newsに「現時点で、GVTには使い道がない」と語った。

最終的にGVTの取引を決断した人にしたら、今回の件は間違いなく心の重荷になった。誰でも参加可能なTelegramグループである「Big Pump Signal」のリーダー陣は、ビットコイン以外の仮想通貨、いわゆるオルトコイン(アルトコイン)を取り扱っている仮想通貨取引所の「Binance」でGVTが上位25位に入っていることを知り、1月13日にグループのメンバーへ「新たな計画」を予告した。

Big Pump Signalの管理者は「当たり前の操作じゃない。今までで最高に成功したOAX(仮想通貨「オープンエーエヌエックス」)を操作したときみたいに、またニュースを広めるぞ」と、ミススペル混じりのコメントを書いた。

Big Pump Signalのある管理者がリツイート希望付きでTelegramにリンクしたマカフィー氏の偽ツイートは、スクリーンショットを見る限り1300回以上もシェアされたらしい。結局このツイートは、発信元の偽アカウントとTelegram上のリンクともども削除された。Big Pump Signalは、Telegramに多数存在する価格操作グループの1つである。BuzzFeed Newsは、早い段階で情報を流したそのグループの管理者にコメントを求めたが、反応は得られなかった。Telegramの広報担当者からも、コメント要求メールには返信がない。


今回の陰謀が完了した後、偽ツイートをTelegramにリンクしたBig Pump Signalの管理者は午後3時42分、「このソーシャルメディア作戦のアイデアを我々にくれた協力者の活躍と、リツイートしてくれた人たちの見事な働きなど、今回の操作には外部の人間がたくさん加わってくれた。これをここで発表しておく」と投稿した。「外部からの参加人数がこれまでで一番多かった」

外部の参加者は、GVTを最高値でつかんでいたら33%の下げを被ったはずだ。そして、痛い目に遭ったのは外部の人間だけでなかった。Twitterで検索すれば、損をしたと文句をツイートしているBig Pump Signalのメンバーがすぐ見つかる。こうした価格操作で確実に利益を得るのは、たいてい首謀者に限られる。しかも、こうした操作グループは陰謀の効果を最大化するために、参加者を限定した少人数のTelegramグループを別に運営している。

米国の証券取引委員会(SEC)は2017年8月、仮想通貨やICO(新規発行する仮想通貨を使った資金調達)に関係する詐欺を一般投資家向けサイトで警告した。それによると、企業についての偽情報や誤解を招く情報を広めるたぐいの手口で、悪者が「市場操作」しているそうだ。今のところ、ICO詐欺として告発した1事案を公表しただけで、どの役所がTelegramのグループで日々発生する価格操作を監督または対応するか明確に決まっていない。

「率直に言って、偽情報に群がるグループが大量に存在している。明らかに違法なのだが、取り締まる規則がなく、好き勝手にうまくやって逃れている」(アルベルト氏)

価格操作を見破る方法(そして、価格操作グループに参加してはいけない理由)

1時間分のチャート(左)を拡大して1分単位のチャート(右)を表示。この価格操作は、1分もかからないで終わっている。価格操作グループの「リーダー陣」は底値で買い、ほかの「メンバー」に高値で売った。

残念ながら、これがGVTで起きた。


イーサリアム開発者の「死」

価格操作は歴史の浅いICOによる仮想通貨を標的にすることが多いものの、ビットコインやイーサリアムといった実績のある仮想通貨も偽情報を使った操作には弱い。2017年6月、たちの悪い連中や陰謀論者が活動していることで知られる匿名掲示板の4chanで、イーサリアムの開発者が亡くなったとのうわさが流れ、イーサリアムの時価総額は数十億ドル下がった。

ETHとして取引される仮想通貨イーサリアムを開発した23歳の天才について、「ヴィタリック・ブテリンの死亡が確認された」との投稿があったのだ。「内部関係者は、EHTを売り始めている。致命的な交通事故だ。そして、答えが得られた。彼は接着剤の役割だったんだ。ETHが復活するのは難しく、仮想通貨全体が大きな問題にぶつかっている」

2017年に入ってから約4800%増という驚異的な価格上昇を記録したイーサリアムだったが、これを切っ掛けに大幅に下がってしまった。ブテリン氏が死亡したといううわさは、イーサリアムの不安定さをひどく増幅させた。ブテリン氏が無事で元気だと証明する自撮りを投稿して、やっとイーサリアムは安定し始めた。

ビットコインは、裏付けとなる資産の存在しない新興通貨だ。その状況に変化はないため、イーサリアム同様とてもうわさに左右されやすい。ビットコインに関する数あるうわさのなかで、もっとも頻繁に流れているものは、大きな組織や販売業者が今後ビットコインを採用し、ビットコインを認定して主流になるよう推進していく、という内容だ。

Amazon.comはビットコインを採用するはずだ。Amazon.comにそれ以外の選択肢はない。この動きは、かつて存在したことのないほど莫大な、世代間で引き継げる資産を生み出す切っ掛けになるだろう。採用の正確な日時を知っているのは、当然Amazon.comのCEOであるジェフ・ベゾスだけだ。ただし、Amazon.comはこれまでライバル小売業者に先んじてきたことを考えると……採用の発表は、早ければ、2月2日午後4時に始まる次の決算説明会と考えられる。だから、今すぐ行動を起こさないと駄目だ。

Amazon.comはビットコインを採用するはずだ。

Amazon.comにそれ以外の選択肢はない。この動きは、かつて存在したことのないほど莫大な、世代間で引き継げる資産を生み出す切っ掛けになるだろう。

採用の正確な日時を知っているのは、当然Amazon.comのCEOであるジェフ・ベゾスだけだ。

ただし、Amazon.comはこれまでライバル小売業者に先んじてきたことを考えると……

採用の発表は、早ければ、2月2日午後4時に始まる次の決算説明会と考えられる。

だから、今すぐ行動を起こさないと駄目だ。

これをうまく利用した人がいた。仮想通貨がテーマのビデオ講座「Masterclass on Cryptocurrencies」を何種類ものオンライン広告で宣伝している、自称ビットコイン専門家のジェイムス・アルタチャー氏が2017年9月、「Amazon.comはビットコインを採用するはずだ」という内容のニュースレターをオンライン配信したのだ(ここで、アルタチャー氏が2013年に「ビットコインは一時的な流行か、詐欺か、ポンジ・スキーム投資詐欺か、もっと悪いものだ」とツイートしていたことは、注目に値する)。

アルタチャー氏は、Amazon.com経営陣とそのほかの仕手情報から文章を引用した形で、「採用の発表は、早ければ、10月26日午後4時に始まる次の決算説明会と考えられる」と書いたのだ。ところが、陰謀ウェブサイトのSquawkerでこの情報は事実として伝えられた(ちなみに、ウェブ分析会社SimilarWebによると、Squawkerの月間訪問者数は約22万5000人)。そして、この情報が仮想通貨関係のオンライン情報誌CoinTelegraphとドイツの新聞ディ・ヴェルトでさらに広められた。


広告でこの情報を広めたことについて、BuzzFeed Newsはアルタチャー氏に質問してみた。すると「早ければという可能性を示しただけで、その日だとは書いていない」という回答が得られた。「仮想通貨に関する偽情報が流れているのが現実で、人々にそうした情報を避けてもらう目的でやっている行為だ」

こうして10月26日になったがAmazon.comからビットコインに関する発表はなく、アルタチャー氏はニュースレターを「採用の発表は、早ければ、2月2日午後4時に始まる次の決算説明会と考えられる」と書き換えた。

一方、チョハン氏はRedditに投稿された真偽の定かでないスクリーンショットに言及した。そこでは、Amazon.comの顧客サービス担当者が、Amazon.comはビットコイン用ソリューションについて「作業中」、とにおわせていた。「この種のチャットがどれほど簡単に偽造できるか、考えてみよう。ビットコインを買ったなら、大ばか者が寄って来て買ってくれるよう仕向けるため、こうした情報をRedditに投稿したくなる」(チョハン氏)

Amazon.comに近い人物によると、近い将来にビットコインやその他の仮想通貨を採用する計画は存在しないそうだ。

リチャード・ブランソンとイーロン・マスク、ビットコイン技術スタートアップに1700万ドル投資

リチャード・ブランソンとイーロン・マスク、ビットコイン技術スタートアップに1700万ドル投資

ビットコイン詐欺の広告を配信するFacebook

以前からフェイクニュースをばらまいていた連中は、自分たちのオンライン詐欺を広める新たな手段として、仮想通貨も標的にし始めた。そうした連中は、仮想通貨ゴールドラッシュで利益を得るため、著名ニュースメディアのウェブページに似せた偽サイトを作り、アクセスして来たインターネットユーザーに何らかのクリックをさせ、個人情報とクレジットカード情報を入力すれば「1日に1ビットコインもらえる」と約束する詐欺への誘導を図った。

例えば、CNNをかたるウェブサイトに「リチャード・ブランソンとイーロン・マスク、ビットコイン技術スタートアップに1700万ドル投資」という見出しが躍った。その記事ページは、本物のCNNと同じレイアウトを採用し、実在するCNNの技術担当記者の署名があり、偽物のFacebookコメント投稿欄が設けられ、CNN-money-report.comという偽装URLが使われていた。このウェブサイトは、「Bitcoin Code」と呼ぶビットコイン取引システムを話題にしており、SimilarWebのトラフィック計測データによると、ソーシャルメディアを使うことで9月から12月のあいだに42万5000人以上からアクセスされたという。

GoogleでBitcoin Codeを検索すると、お金を盗み取る詐欺サイトであるとの警告が即座に表示される。この偽CNNサイトのURLはFacebookから削除されたものの、Twitterで少し検索するだけで、2017年秋にユーザーがこの情報を広め、詐欺に引っかかったらしいと分かる。しかも、金銭的なもうけのために偽情報をインターネットで広めるウェブサイトは、ここだけでない。同じIPアドレスを使っているほかのウェブサイトを検索したところ、Bitcoin Codeを推奨しているサイトのURLは、機能しているサイトと機能していないサイトを合わせ、72種類あった。これらサイトの一部をSimillarWebで調べたら、訪問者の大多数がソーシャルメディア経由で流入していた。

これら72あるサイトの1つ「Dorothylewis.online」の場合、電気自動車メーカーTeslaなどでCEOを務めるイーロン・マスク氏のビットコイン投資に関するフェイクニュースがシェアされたことで、9月から10月のあいだのアクセス回数は約5万回あった。あるTwitterユーザーは、Facebookに掲載された有料広告のせいでアクセスが増えた、と指摘している。

Facebookは、この種の広告に関する個別の質問には回答しなかったが、ジャーナリストで、法律系スタートアップ企業Vizlegalを創業したギャビン・シェリダン氏も、こうした広告に気づいたという。シェリダン氏は1月15日に、「Ireland Crypto」のFacebookページから投稿された有料広告に狙われていたと、ツイートし始めた。この有料広告には、Virgin Groupの創業者であるリチャード・ブランソン氏の写真が掲載され、「リチャードが複数の仮想通貨取引所をハック!」という説明が付いていた。

「Facebookではこの種の行為が何年も前から横行しているのに、Facebookは無視を決め込んでいる」

「すぐに詐欺だと分かった。しかし、年老いた騙されやすい親戚だったり、ノートPC以外のデバイスでこれを見ていたりしたら、あのリンクの大本を確認するのはずっと難しいだろう」(シェリダン氏)

シェリダン氏がこの広告のリンクを追跡したところ、「リチャード・ブランソンが発言、ビットコイン取引をすれば30日で仕事が辞められる!」という見出しの記事が掲載された、別の偽CNNページにたどり着いた。さらに、この偽ページはConsistentProfits.coというサイト内のページにリンクしていて、リンク先では毎週10ビットコインを入手する方法を教えるという内容のビデオが自動再生された。このサイトをドメイン検索すると、イスラエルとラスベガスに住所のあるフロント企業らしき会社が出てきた。

「ユーザーはそこでビデオを見るが、内容はユーザーを引っかけようとするもので、ユーザーは登録してクレジットカード情報を入力してしまう。ところが、情報はまったく保護されない。この種の行為がFacebookで何年も前から横行しているのに、Facebookは無視を決め込んでいる」(シェリダン氏)

シェリダン氏がツイートした情報は、Facebookで広告事業担当バイスプレジデントを務めるロブ・ゴールドマン氏の知るところとなり、問題のFacebookページは非公開にされた。ただ、どのくらいの期間存在し、どれほどの範囲に広められ、何人がユーザー登録したか、定かでない。この件に関し、ゴールドマン氏は「こうした広告はFacebookの運営ポリシーに違反しているだけでなく、我々の信条にも反する。Facebookは、この種の活動を見つけ次第すぐに対処する」とツイートした。

仮想通貨詐欺を宣伝しているほかのページはFacebookで増え続けており、現時点でゴールドマン氏の「見つけ次第すぐに対処する」という発言は仮定の話に過ぎない(訳注:ただし、Facebookは米国時間1月31日、バイナリーオプション、ICO、仮想通貨に関する広告を禁止するとの新方針を発表した)。Dorothylewis.onlineが2017年9月に出した、イーロン・マスク氏がビットコイン関連スタートアップ企業に7億7000万ドル出資という情報は、2018年1月19日時点でまだ残っている。この情報はFacebookの広告ネットワークで広められ、1500個の「いいね!」を獲得し、300回以上シェアされた。コメントの多くはこの話を“まゆつば”としているが、そうでないコメントもある。

ある人物は、「イーロンなら信用できる」と書いていた。

参考URL:https://www.buzzfeed.com/jp/ryanmac/fake-news-bitcoin?utm_term=.onoPennwW#.vhjk122L0 

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