■ソーラーコイン

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暗号通貨を提供することで太陽光発電を推進するという企業が、宇宙空間に設置されるデータセンターのストレージを取得する契約を交わしたと発表した。

その目的は、自社のブロックチェーンウォレット(暗号通貨の保管場所)をハッキングから保護するためだ。2014年創業のソーラーコイン・ファウンデーションは、太陽光発電業者を対象に「グローバル報奨制度」を実施している企業で、発電量1メガワットごとにブロックチェーン通貨を提供している。

そのソーラーコイン・ファウンデーションが、宇宙データセンター「SpaceBelt」(スペースベルト)のデータストレージ取得に合意したのだ。

スペースベルトは、衛星を使った事業のスタートアップ、Cloud Constellation(クラウド・コンステレーション)が計画しているサーヴィスで、2025年までに軌道を周回する衛星上でデータの通信・処理・保管を行うというものだ。

2016年5月に『Ars Technica』US版のインタヴューに応じたクラウド・コンステレーションのスコット・ソブハニ最高経営責任者(CEO)によると、スペースベルトはレーザー通信によって結ばれた複数の衛星ネットワークで構成されており、10ギガビット分の専用オービタル基幹ネットワークを提供するという。

衛星は複数の比較的低い軌道上を周回し、すでに存在するさまざまな衛星の通信周波数の相互接続も提供する。ソーラーコインとの契約を発表したプレスリリースによれば、スペースベルトには「独自のブロックチェーン技術」も搭載される模様だ。その技術によって、宇宙に保管されたブロックチェーンウォレットは手厚く保護されることになる。

クラウド・コンステレーション社の広報担当者は、今回の契約に関する同社資料のなかで、「(この契約により)ソーラーコイン・ファウンデーションは利用者に対し、取引記録の絶対的な保護を約束できるでしょう。関連情報はインターネットを通じて記録・閲覧することができます」と述べている。

「(ソーラーコイン・ファウンデーションは)スペースベルト・ネットワーク上のストレージを取得することで、コールド・ストレージ・スペースの安全な管理と、同社が保有する50億ドル分のソーラーコイン通貨の保護が可能になります。運用が始まれば、ソーラーコインは地球と宇宙を行き来する世界初の通貨となるでしょう」

地球の軌道を周回する衛星上のストレージにブロックチェーンウォレットを置くほうが、地上のデータセンターにブロックチェーンウォレットを置くよりもなぜ安全なのか、その正確な理由はよくわからない(物理的なアクセスが難しくなるのは確かだが)。さらに、ウォレットへのアクセスは可能であるとはいっても、インターネットを通じたデータ転送に、より多くの時間がかかるという条件も付く。

また、発電量1メガワットごとに1ソーラーコインが受け取れるというが、50億ドルものコインを誰が使ったり受け取ったりするのかもわかっていない。

両社によれば、宇宙を基盤としたブロックチェーン取引システムは、2018年末までにサーヴィスが始まる予定だ。