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 中国の中央銀行である中国人民銀行の副総裁、範 一飛氏が、同行主管の各月誌「中国金融」の特集の中で中央銀行が検討している独自の仮想通貨作成について発言し、この“法定”仮想通貨の方向性や原型構想、技術的な選択、法律的な依拠、貨幣政策への影響などについて言及している。

 

中国人民銀行では今年1月20日、同行が独自の仮想通貨作成の構想について前向きであるという姿勢を北京で行われたデジタル通貨検討会で明らかにしていた。

 

「“法定デジタル通貨”発行が決まれば、効果を最大化するべく柔軟に対応する」と強調

 

今回「中国金融」誌面では「中国の法定デジタル通貨の理論ベースと構造選択」というタイトルの文章が掲載され、その中で範副総裁は、「中央銀行は金融体系の安定を維持するという基本的な機能を果たすべく、また時流にそった金融刷新を促すべく、技術要素を十分に考慮しながら、“法定デジタル通貨”の発行・流通と、また“法廷ではないデジタル通貨”とを有効的に監督していきたいと考えている」と述べた。また、“法定デジタル通貨”を発行した場合の金融体系への影響の分析は進んでおり、中央銀行は必要となる場合には積極的かつ時機を逃さずに法制度の整備を行い、“法定デジタル通貨”の金融体系に与える影響を最大限にするべく、またマイナスの影響は最少となるべく動くことを強調した。

 

中央銀行―商業銀行のル―トで流通させることを想定

 

文章中では、この“法定デジタル通貨”の運用方法について「中央銀行が直接公衆に向けて発行する方法」と、現在紙幣などで行われている「中央銀行―商業銀行の二階層で発行する方法」の二つを挙げ、現状では「中央銀行―商業銀行」の方式に傾いているとする。

 

“デジタルマネー”と“仮想通貨技術を利用したマネー”の併用を想定

 

また今想定するデジタル通貨の技術的な定義について、いわゆる既存のモバイルマネーなどに使われる “デジタルマネー”ではなく、現在仮想通貨として流通しているような暗号技術を利用した貨幣の方がさまざまな先進技術に対応できる魅力があるとしながらも、こうした(仮想通貨のような)技術は新興技術であるため研究時間が必要で、運用を維持するための難易度が高いことを不安視する。

 

上述の既に存在している“デジタルマネー”の技術は改ざんを防ぐ能力の低さや、マネーロンダリング防止の能力が低く不安点もあるが、技術的にはシンプルで管理しやすいため、この2つの方法を需要が異なる場面ごとに使い分けることで対応することを現在考えているとする。

 

金融体系への影響は

 

“法定デジタル通貨”が経済社会の各方面に与える影響として、範氏は「実物の貨幣の需要が減る可能性や金融資産の相互転換の加速、貨幣流通の可測度の向上、データ分析の信ぴょう性の向上、マネーロンダリング防止や顧客確認(KYC)の向上」などを挙げる。

 

中国政府では今年7月に「ブロックチェーン技術と応用発展の研究」のために乐视金融、万向控股、微众银行、平安保险など中国の大手企業と共同して研究を進めることを発表している。今後、中国の独自デジタル通貨はどちらの方向に舵を取るのか。さらなる情報が待たれる。

※参考URL

https://www.coin-portal.net/2016/09/03/12455/

※中国本文

http://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MzA3NTg1MjE0Ng==&mid=2649774860&idx=1&sn=5272277cdeaf0e46385481e4174c35e1&scene=0#wechat_redirect